お寺の本堂と太子堂で読むお経

お遍路準備B|仏前観経次第

全てのお寺で唱える「仏前観経次第」

「仏前観経次第」は、お寺の本堂と太子堂で唱えるお経がまとめられたもののこと。
下の内容が、1冊に収められています。@〜Jを順番に読み上げます。

 

仏前観経次第(ぶつぜんかんぎょうしだい)

@開経偈(かいきょうげ)
A懺悔文(ざんげのもん)
B三帰(さんき)
C三竟(さんきょう)
D十善戒(じゅうぜんかい)
E発菩提心(ほつぼだいしん)
F三摩耶戒真言(さんまやかいしんごん)
G般若心境(はんにゃしんきょう)
H真言(しんごん)※仏様によって違うので、そのお寺の真言を読む
I光明真言(こうみょうしんごん)
J大師宝号(たいしほうごう)
K回向文(えこうぶん)

 

それぞれの意味と読み方

@開経偈(かいきょうげ)…経典を開くときに読む最初の言葉

 

無上甚深微妙法(むじょうじんじんみみょうほう)

百千万劫難遭遇(ひゃくせんまんごうなんそうぐう)

我今見聞得受持(がこんけんもんとくじゅじ)

願解如来真実義(がんげにょらいしんじつぎ)

 

(意訳)

お釈迦様が説かれた悟りは、何度生まれ変わったとしてもそう簡単に達することのできない境地です。でも、こうして私は仏教に出会うことができ、その教えに触れることができました。お釈迦様が説かれたその悟りの心理を本当に体得したいと思っています。

 

A懺悔文(ざんげのもん)…今までの過ちを悔いる

 

我昔所造諸悪業(がしゃくしょぞうしょあくごう)

皆由無始貪瞋癡(かいゆうむしとんじんち)

従身語意之所生(じゅうしんごいししょしょう)

一切我今皆懺悔(いっさいがこんかいさんげ)

 

(意訳)

私はいまだに善悪の区別もつかず、知らず知らずのうちに湧き起こる「貪欲(どんよく)」「怒りの感情」「愚かさ」から生まれる過ちを、今ここで悔い改めます。

 

B三帰(さんき)…仏教に帰依することを誓う

 

弟子某甲盡未来際(でしむこうじんみらいさい)

帰依仏 帰依法 帰依僧(きえぶつきえほうきえそう)

 

意訳:私はこれから、苦しみのない生き方の実現者である「仏様」と、その仏様が説く「教え=法」と、ともに歩む「僧」を心から尊敬し拠り所と致します。

 

C三竟(さんきょう)…仏教に帰依するとの誓いを終えました

 

弟子某甲盡未来際 (でしむこうじんみらいさい)

帰依仏竟 帰依法竟 帰依僧竟 (きえぶっきょう きえほうきょう きえそうきょう)

 

意訳:先ほど「三帰」で唱えた通り、仏様、教え、僧侶に帰依すること。これを誓い終わりました。

 

D十善戒(じゅうぜんかい)…10ある戒めを守る

 

不殺生(ふせっしょう)…生きている全ての命を大切にしむやみに生き物を傷つけない。

不偸盗(ふちゅうとう)…ものを決して盗まない。

不邪婬(ふじゃいん)…一人の相手を大切にして、不倫や浮気をしない。

不妄語(ふもうご)…人にうそをつかない。真実を話す。

不綺語(ふきご)…ものごとを大げさに話たり、余計なことを触れ回らない。

不悪口(ふあっく)…人の悪口をいわない、乱暴な言葉を使わない。

不両舌(ふりょうぜつ)…人を仲違いさせたり、陥れるようなことは言わない。

不慳貪(ふけんどん)…強欲にならず、感謝の気持ちをもつ

不瞋恚(ふしんに)…怒りを抑え、穏やかな気持ちで過ごす

不邪見(ふじゃけん)…人の道にはずれるような間違った考え方は捨てる

 

注釈:十善戒の根本は、「他の人の痛みを知る」ことにあります。自分だけが苦しいのではなく、誰もが苦しいのです。自分の心の中から湧きおこる様々な欲や思いを断ち切り、他人をいたわろうと思うことが自分の苦しみをも救うことになるのです。10の戒めは、他者をいたわるために必要な戒めです。

 

 

E発菩提心(ほつぼだいしん)…菩提心を持つことを誓います。

 

おん ぼうじ しった ぼだはだやみ×3回

 

意訳:ああ、いま私は全身全霊で、菩提心(仏様を信じる心、心根の良い人になる、慈悲の心を持つ)をおこそうと思います。

 

注釈:お釈迦様の時代のインドの言葉が、そのままひらがな表記されています。(真言と名のつく言葉は、この後も出てきますが全てひらがな表記、当時のことばが音訳されています)
この世に生まれてきた人は皆、苦しみながらも互いに支え合って生きていかねばならない存在です。だからこのことを知って、菩提の心をもてるように努力しましょうという意味です。

 

F三摩耶戒真言(さんまやかいしんごん)…仏様の境地に達するよう努力します

 

おん さんまや さとばん ×3回

 

意訳:ああ、今まさに仏様と同じになろうとしています。

 

(注釈)
仏様も私も世の中の人たちも全て、同じように尊い命と尊い心を持っています。「同行二人」の教えに従って、仏様の境地に達するよう修行していきます。

 

G般若心境(はんにゃしんきょう)…仏教のあらゆる教えが込められたお経

 


仏説摩訶般若波羅蜜多心経

(ぶっせつ まかはんにゃはらみた しんぎょう)

意訳:仏様が説かれた偉大な智慧の中心のお経

 

観自在菩薩 行深般若波羅蜜多時、照見五蘊皆空、度一切苦厄

(かんじざいぼさつ ぎょうじんはんにゃはらみった じしょうけんごうんかいくう どいっさいくやく)

意訳:観音様が深い智慧で行をされていたとき、私たちを構成するものは、全て「空(くう)」だとと見破られて、苦悩災難を超えられた。
※五蘊⇒私たちを構成する「色、受、想、行、識」のこと。

 

舎利子 色不異空 空不異色 

色即是空 空即是色 受想行 識亦復如是

(しゃりし しきふいくう くふいしき しきそくぜくう くうそくぜしき じゅそうぎょう しきやくぶにょぜ)

意訳:舎利子(仏陀の弟子の名前)よ。色は空に異ならず、空は色に異ならず、色はすなわち空であり、空はすなわち色である。受、想、行、識もまた、色と同じく空である。

 

舎利子 是諸法空相 不生不滅 不垢不浄 不増不減

(しゃりし ぜしょほうくうそう ふしょうふめつ ふくふじょう ふぞうふげん)

意訳:舎利子よ。すなわち、それぞれのものは空の姿である。すなわち、生きることもなく滅することもない。汚れることもなく、清くもない。増えもしないし、減りもしない。

 

是故空中 無色無受想行識 無眼耳鼻舌身意

無色声香味触法 無眼界 乃至無意識界

(ぜこくうちゅう むしきむじゅそうぎょうしき むげんにびぜっしんい

 むしきしょうこうみそくほう むげんかい ないしむいしきかい)

意訳:ゆえに、物事を「空」ととらえることができるならば、この世に見えるもの(色)はなく、ものが感じる感覚(受)もなく、ものの価値を決めること(想)もなく、それを欲しいと思う(行)こともない。ものを欲しがる欲望(識)もない。目で見えるものには意味がない以上、声や匂い、味や感覚までも実は存在しない。

 

無無明亦 無無明尽 乃至無老死 亦無老死尽

(むむみょうやく むむみょうじん ないしむろううし やくむろうしじん)

意訳:無明もなく、無明が尽きることもない。12つの因縁からなる老死に至るまで、老いて死ぬこともないが、老いて死ぬことが尽きることもない。

 

無苦集滅道 無智亦無得以 無所得故菩提薩た

依般若波羅蜜多 故心無け礙 無け礙故 無有恐怖

遠離一切顛倒夢想 究竟涅槃

(むくしゅうめつどう むちやくむとくい むしょとくこ ぼだいさった えはんにゃはらみった こしんむけいげ むけいげこ むうくふ おんりいっさいてんどうむそう くぎょうねはん)

意訳:苦しい道がなくなることはない。何か得することもない。得がないのだから、菩薩の智慧を得れば、心を煩わせることもない。恐怖を抱くことなく、夢見心地な欲から離れて、涅槃を完成させるのだ。

 

三世諸仏 依般若波羅蜜多 故得阿耨多羅 三藐三菩提

(さんぜしょぶつ えはんにゃはらみった ことくあのくたら さんみゃくさんぼだい)

意訳:過去現在未来の三世の仏様たちも、涅槃に至る智慧を得て、何ものにも変えがたい菩提を得たのだ。

 

故知般若波羅蜜多 是大神呪 是大明呪

是無上呪 是無等等呪

(こちはんにゃはらみった ぜだいじんしゅ ぜだいみょうしゅ ぜむじょうしゅ ぜむとどうしゅ) 

 

意訳:ゆえに、般若波羅蜜多と唱えることは、神の呪文であり、何ものにも変えがたい尊い呪文であることを知りなさい。

 

能除一切苦 真実不虚 故説般若波羅蜜多 呪即説呪曰

(のうじょいっさいく しんじつふこ こせつはんにゃはらみった しゅそくせつしゅわつ)

意訳:この世の一切の苦しみを取り除く、真実の呪文(真言)をここに説く。

 

羯諦 羯諦 波羅羯諦 波羅僧羯諦 菩提薩婆訶 

般若心経

(ぎゃていぎゃてい はらぎゃてい はらそうぎゃてい ぼじそわか はんにゃしんぎょう)

意訳:やがて彼岸に行くとき、みながともに彼岸に行くとき。悟りとともに幸せになるであろう 智慧の本質を解く般若心経と共にあれ。

 

※般若心境の一部の漢字を正しく変換できずひらがな表記している箇所があります。ご容赦下さい。

 

H真言(しんごん)※仏様によって違うので、そのお寺の真言を読む

 

13仏の仏様の真言(呪文)です。これも、3回読みます。(真言は3回読む)

仏様によって真言が異なり、お寺ごとに祀られている仏様に合わせて真言をよみます。

 

I光明真言(こうみょうしんごん)…5つの仏様のご加護と自分の力を発揮する真言

 

おんあぼぎゃ べいろしゃのう まかぼだらまに はんどま じんばらはらばりたや うん ×3回

 

意訳:ああ、不空なるお方よ。薬師如来よ。大日如来、阿悶如来、宝生如来、阿弥陀如来よ。5つの如来の叡智を得て、光明を放ちたまえ。

 

注釈:この真言の中に、5つの仏様が含まれています。いわば、最強の真言ともいわれ、全てのお寺で唱える真言(呪文)です。それぞれの仏様にはつかさどる意味があり、如来さまの名前を唱えることで、5つの智慧を身に着けられるよう祈る言葉でもあります。

 

あぼぎゃ⇒不空成就如来(=薬師如来)実行力を得ることを指す
べいろしゃのう⇒大日如来、全ての源となる生命力
まかぼだら⇒阿悶如来、向上心を持ち、素直な心で生き、慈悲を忘れないこと
まに⇒宝生如来、宝物を指し、自分の命や家族の命、全ての命を指す。
はんどま⇒阿弥陀如来、慈悲の心で世間と接すること

 

この5つの力を発揮して、「自分の力を最大限によい方向に導け」という真言です。

 

J大師宝号(たいしほうごう)⇒お大師様への帰依を誓う

 

南無大師遍照金剛 ×3回

なむたいし へんじょうこんごう

 

意訳:弘法大師様にお仕え致します。

 

K回向文(えこうぶん)

 

願わくは この功徳をもって あまねく一切に及ぼし

われらと衆生と皆ともに仏道を成ぜん

 

注釈:回向文とは、自分の善行功徳を他者にも振り向けるという意味。周囲への感謝を忘れず、周囲への功徳を積み、皆と共に仏道を歩んで人として幸せな道を歩みましょう。

お経の読み方、息継ぎ箇所がわかる動画

実際、「仏前勧経次第」を入手してみると、読み仮名がついていますから、そのまま読めば何とかなります。

 

とはいえ、問題は、息継ぎ箇所。どこで区切っていいのか?よくわからないのが実情です。

 

ここでは、参考になるYOU TUBEの動画リンクをご紹介します。一度聞いてみると、感覚がつかめますので、ご利用ください。

 

十善戒 動画

 

 

般若心経 動画

 

 

光明真言 動画

 

 

お遍路の納経一通りを紹介している動画

 

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