四国お遍路で出てくる「13仏」
四国お遍路の88か寺には、どのお寺にも「ご本尊」としている仏様がいらっしゃいます。
お遍路を始めると、最初に気づくのが、お寺によって祀られているご本尊様が違うこと。
そのため、読み上げるお経(仏前観経次第)は、「13仏真言」の箇所だけ、お寺のご本尊様のご真言を読むことになります。
「13仏真言」でいう13の仏様とは、どんな仏様なのでしょうか?簡単に解説していきましょう。
13仏信仰とは?
人間は、生まれた瞬間から、「煩悩と苦しみの中で楽土を目指す」修行の場を生きています。
その苦しみから人間を救うために現れるのが「仏様」で、生きている間だけではなく、死んだ後も、さまざまな仏様に出会います。
亡くなった方の法要が、おもに49日間あるのは何となくご存じの通り。故人は、この49日の間にも出会う仏様があり、死後の世界でも煩悩を取り除きながら楽土へと向かうと考えられています。
死者を弔う残された人々も、故人をしのび、仏様の徳に従って楽土を目指す一つの方法が13仏信仰と回忌行事です。
四国お遍路の88か寺は、88の煩悩を取り払う巡礼でもあります。
お寺を廻る度に、1つ。また1つ。
楽土へ導いて下さる仏様の徳を仰ぎながら、楽土へと歩み始めます。
13の仏様とご真言について、1つずつご紹介していきましょう。
@不動明王(ふどうみょうおう)
ご真言
のうまくさんまんだ ばざらだん せんだまかろしゃだ そわたや うんたらた かんまん
不動明王がご本尊のお寺/36番、37番、45番、54番
恐ろしい表情で、左手には縄を持ち、右手には剣を持つ仏様が「不動明王」です。
さまざまな煩悩をまず最初に打ち砕き、邪心を遠ざけて真っ白な清い心をつくる仏様で、般若心経の眼耳鼻舌身意の6つを清める「六根清浄」を行います。
死した後、初七日の最初の法事で現れる仏様です。(初七日忌)
A釈迦如来(しゃかにょらい)
ご真言
のうまくさんまんだ ぼだなん ばく
釈迦如来がご本尊のお寺/1番、3番、9番、49番、73番
釈迦如来は、「お釈迦様」のこと。つまり、仏教を開祖した仏陀を指します。
不動明王によって心を清めた後に現れる仏様で、実際にこの世で苦難も快楽も経験したお釈迦様の導きによって、お釈迦様のように究極の涅槃至福の道を歩んでいきます。
亡くなった後、27日忌(ふたなのかき)の法要を司ります。
※27日忌…2×7=14日後の法要。
B文殊菩薩(もんじゅぼさつ)
ご真言 おん あらはしゃのう
文殊菩薩がご本尊のお寺/31番
お釈迦様の持つ「智慧(ちえ)」を説くのが、「文殊菩薩」です。
文殊菩薩は、この世で「悟り」を目指す本来の目的を見失って煩悩の中に生きています。
目先の欲に負けて、大事な人やものを失わず、「智慧」の力で正しく生きていく道を指し示します。亡くなった後は、37日忌(みなのかき)に登場します。
※37日忌…3×7=21日後の法要
C普賢菩薩(ふげんぼさつ)
ご真言 おん さんまや さとばん
仏前観経次第では、前半の「三摩耶戒真言」に登場する真言です。仏様の「慈悲」と「理知」を施し、人々を救う仏様です。
心に「慈悲」をもつことで、心を清めお釈迦様に近づいていく修行の意味を持ち、菩提心を大きくし、涅槃の至福の世界へと導く仏様です。
亡くなった方の47日忌(よなのかき)をつかさどります。
※47日忌…4×7=28日後
※お釈迦様が現れるとき、左にいるのが「文殊菩薩」、右に白象に乗って座っているのが「普賢菩薩」です。世界を仏の智慧と慈悲で満たします。
D地蔵菩薩(じぞうぼさつ)
ご真言 おん かかかび さんまえい そわか
地蔵菩薩が本尊のお寺/5番、19番、20番、25番、37番、56番
この世の六道(地獄、餓鬼、畜生、阿修羅、人間、天上)に輪廻転生して、苦しむ衆生を救う仏様が「地蔵菩薩」です。色々な場所で見かける「お地蔵さん」は、この地蔵菩薩からきています。
あらゆる苦しみをその体で受け止め、二度と苦しみが来ないように守り、新たに再生するまで一緒に歩み続ける仏様です。お釈迦様が入滅してから56億7千万年後に「弥勒菩薩」が現れてこの世を救うまでの間、「地蔵菩薩」がこの世を見守り続けるといわれています。法要では、57日忌(ごなのかき)の仏様です。
※57日忌…5×7=35日後の法要
E弥勒菩薩(みろくぼさつ)
ご真言 おん まいたれいや そわか
弥勒菩薩がご本尊のお寺 14番
弥勒菩薩は、お釈迦様の次にこの世に生まれ来たる仏様です。
今はまだ「兜率天(とそつてん)」にいらっしゃって、お釈迦様がなくなってから56億7千万年後にこの世に生まれるといわれています。この世のあらゆる生きものを尊び、愛し、慈しんでくださる仏様です。
お大師様は、いまこの兜率天で弥勒菩薩と一緒にいるといわれています。亡くなってから、67日忌(むなのかき)の仏様です。
※67日忌…6×7=42日後
F薬師如来(やくしにょらい)
ご真言 おん ころころ せんだりまとうぎ そわか
薬師如来がご本尊のお寺
6番、11番、15番、17番、18番、22番、23番、26番、33番、34番、35番、37番、39番、40番、46番、50番、51番、59番、67番、74番、75番、76番、77番、88番
四国お遍路の中で、最も多く祀られているのが「薬師如来」です。
人々の病気を治しこの世を救ってくれる仏様で、薬師如来のご真言には「この世から戦争がなくなり人々が苦しむことがないように」という意味が込められているといわれています。
亡くなったあと、49日後に現れる仏様で、故人の新たな出発をつかさどります。
49日は、まだこの世にいる個人も楽土へと旅立つ日です。残された人も、故人の新たな門出を送り出し、悲しみを乗り越える日でもあります。
「77日忌(なななのかき)」といい7×7=49日後という意味です。
G観世音菩薩(かんぜおんぼさつ)
ご真言 おん あろりきゃ そわか
観世音菩薩は「観自在菩薩」ともいわれ、煩悩や欲から離れて人々の悩みや苦しみを知る慈悲深い仏様です。手に蓮の花を持っているのは、その「慈悲の心」を表しています。
観世音菩薩は、その人に合わせた姿で現れるともいわれ、怒りに満ちた人には怒りの姿で、貪欲な人には貪欲な姿で現れます。人々は、その姿を見ることで自分の煩悩に気づき、仏様の「徳」を身に着けることができるのです。
故人を偲ぶ「百カ日忌」(100日目)の仏様です。
H勢至菩薩(せいしぼさつ)
ご真言 おん さんざんさく そわか
勢至菩薩(せいしぼさつ)は、「智慧」の光りで闇を撃退する強い勢いをもつ仏様です。故人の1周忌に現れる仏様で、智慧の強い力で新たな出発を助けます。
I阿弥陀如来(あみだにょらい)
ご真言 おん あみりや ていぜい からうん
阿弥陀如来がご本尊のお寺/2番、7番、30番、37番、47番、53番、57番、64番、68番、78番
悩み苦しんでいる人を救ってくださる仏様が、「阿弥陀如来」です。
心の痛みを知る人は、人の気持ちをも知ることができます。その痛めた心を慈しみ、人を思いやる心を持てる道へと誘います。
故人の三回忌(亡くなってから2年目)の法要を司ります。※3回忌以降は、年数―1年が法要の年です。
J阿しゅく如来(あしゅくにょらい)
ご真言 おん あきしゅびや うん
煩悩を打ち砕く不動明王が如来になったのが、「阿しゅく如来」です。修行の末に、煩悩をぬぐいさり不動の境地へ達することを意味します。
さまざまな苦しみを引き起こす欲望から自由になり、智慧と慈悲の心を大切に生きる覚悟を指し示す仏様です。
故人の7回忌(6年目)の法要を司ります。
K大日如来(だいにちにょらい)
ご真言 おん あびらうんけん ばざらたどばん
大日如来がご本尊のお寺/4番、28番、42番、60番、61番、72番
太陽の光があらゆるものを平等に照らすように、この世のすべてのものを光で照らすのが「大日如来」です。大日如来のように、一人ひとりが他人を光で包む人間として生きられるようにお祈りします。
法要では、13回忌(12年目)の仏様です。
「大日如来」は、お大師様の「真言密教」での最高仏です。
L虚空蔵菩薩(こくうぞうぼさつ)
ご真言 のうぼう あきゃしゃ きゃらばや おんありきゃ まりぼり そわか
虚空蔵菩薩がご本尊のお寺/12番、21番、24番
「虚空蔵菩薩」は、すべてを受け入れる器であり、何ものにも変えがたい宝物を生み出す仏様です。平等性智をつかさどり、人が煩悩も欲も捨て無心になることで本当に尊いものが見えてくるのを助けて下さいます。
33回忌の法要に現れ、一般的に「弔いあげ」となり個人を偲ぶ法要はこれで終わります。
四国お遍路で登場するこのほかの仏様
お遍路では、13仏以外のご本尊様も多く登場します。世界には8万4千の教えがあり、そのひとつひとつに仏様がいらっしゃいます。
楽土へ向かうために登場する仏様は、ほかにも無数にいらっしゃるということです。
千手観世音菩薩(せんじゅかんぜおんぼさつ)
ご本尊のお寺/8番、10番、16番、29番、38番、43番、58番、66番、71番、80番、81番、82番、84番
聖観世音菩薩(せいかんぜおんぼさつ)
※13仏8番目の「観世音菩薩」と同じ真言。
ご本尊のお寺/37番、69番、83番、85番、87番
馬頭観世音菩薩(ばとうかんぜおんぼさつ)
ご本尊のお寺 70番
十一面観世音菩薩(じゅういちめんかんぜおんぼさつ)
ご真言 おん まか きゃろにきゃ そわかご本尊のお寺 13番、27番、32番、41番、44番、48番、52番、62番、65番、79番、86番
大通智勝佛(だいつうじしょうぶつ)
ご本尊のお寺 55番
毘沙門天(びしゃもんてん)
ご本尊のお寺 63番
札所によっては、複数のご本尊様も!
札所によっては、1つだけではなく、いくつもの仏さまが祀られているケースがあります。
例えば、高知県にある第37番札所「岩本寺」の場合、ご本尊は4つも!
その際は、それぞれのご真言をすべて唱えることになります。本堂の柱などにも、ご真言が掲げられているケースも多いので、落ち着いて唱えましょう。
関連ページ
- 四国お遍路の「お大師様」とは?
- 四国お遍路の起源となったのは弘法大師の四国での荒行です。弘法大師を親しみを込めてお大師様と呼びます。ここでは「お遍路を始める前に、知っておきたい弘法大師のお話を簡潔にまとめました。
- 四国お遍路のまわり方「順打ちと逆打ち」
- お遍路のまわり方の種類と方法について解説しています。順打ちと逆打ち、通し打ちと区切り打ちについて知っておきましょう。
- 実は何度でも回れる四国お遍路
- 四国お遍路は88か寺を1周すれば終わりというわけではありません。「まわりたい」と思えば、何度でも回れるのがお遍路のすごいところでもあります。 1度回ると、何度もまわりたくなる「お遍路ファン」がいるのもうなづけます。
- 四国お遍路の心がまえ
- 四国お遍路を廻ろうと思ったら、絶対に忘れてはいけない心構えがあります。宗教や宗派に関係なく守るべきことを事前に知っておきましょう。
- 「お大師様」「13仏」の結縁日はいつ?
- 実は、神仏ごとに特定の「ご縁日」があり、その日にお参りすると、特に深い縁を結ぶことができるといわれています。四国お遍路では、お大師様と13仏の結縁日があります。結縁日の一覧をご紹介します。
- 四国お遍路で出会う「心のメッセージ」
- お遍路でお寺を廻っていると、色々な場所で、色々なメッセージに出会います。 山門の前に掲げられていたり、掲示板に貼られていたり。納経帳にご朱印を戴いた際に、メッセージの紙が挟まれているところも。 そういうメッセージに出会うと、何か心に響くものがあります。 管理人のお遍路中に出会った色々な「メッセージ」をご紹介します。
- お遍路の有名人「衛門三郎」のお話
- 四国お遍路を始めると、やたらと目にする逸話があります。「衛門三郎(えもんさぶろう)」のお話です。 衛門三郎は、四国お遍路をした最初の一般人で、 伝説上の人物ともいわれていますが、彼の逸話にまつわるものがあちこちのお寺で見かけます。 衛門三郎のお話は、こんなお話です。
- 「うるう年」の逆打ちはご利益が倍増?!
- 2016年は、4年に1度の「うるう年」です。 いま、四国霊場に行くと、「うるう年のぼり」が建てられているお寺に遭遇します。 実は、お遍路さんにとって「うるう年」は、いつにもましてご利益のある年。 しかも、この年に逆打ちをすると、とてつもないご利益があるといわれています。 それは、なぜなのでしょうか? 詳しくご紹介していきましょう。
- 2016年のお遍路でもらえる!うるう年限定「散華」
- 2016年はうるう年。 この年の逆打ちは、「3倍ものご利益」があるといわれている特別な年です。 通常、納経所で御朱印を頂くと、「御影(みかげ)」(=ご本尊様の印)を頂けますが、2016年はこれと別に、「2016年うるう年限定 散華(さんげ)」が頂けます。
- 「遍路」という言葉に託された意味とは?
- 「四国お遍路」という言葉。一般にもすっかり定着して、意味についてはほとんど考えることもありませんが、ふだん使わない言葉でもあります。 この「遍路」という言葉には、そもそもどんな意味があるのでしょうか?
- 四国お遍路のご朱印にある文字の意味
- 四国お遍路を始めて、お寺で御朱印を頂くと不思議に思うことがあります。 それは、御朱印に書かれている文字の意味。 お寺や書く人によって、読めそうなものもあれば、全く読めないものもあります。 このご朱印には、どんな意味があるのでしょうか? 雑学的なお話ですが、ここでは御朱印について、解説しておきましょう。
- 四国お遍路の「先達さん」って何?
- 四国お遍路では、いろいろなお寺で「先達(せんだつ)」さんと呼ばれる方々に遭遇します。とくに、バスでやって来る団体さんの先頭にたって、お経を読んでいる方々のほとんどが、この「先達さん」です。 ところで、この「先達さん」とは一体どんな人のことをいうのでしょうか?
- 四国お遍路の「納め札」の意味
- 四国お遍路の札所を回ると、どのお寺でも、本堂と大師堂に「納め札箱」があります。 これは、巡礼者が書いた「納め札」を入れる箱で、「納め札」には、いわば「参拝証明書」の役割があります。 ところで、この「納め札」は、いつ、どのようにして始まったのでしょうか。
- 四国お遍路で「白衣を着る意味」
- 日本各地には、四国88か寺以外にも様々な巡礼地がありますが、四国お遍路ほど「白衣(びゃくい)姿」を見る巡礼地は皆無に等しいのではないでしょうか? 四国88か寺のお寺を回っていると、地元の住民以外のほとんどの参拝者が「白衣」を身にまとっています。全身真っ白の正装スタイルの方は少なくなりましたが、普段着の上にはおる白衣を身に着けている人は、実に多いのです。 そもそも、お遍路を行く人々はなぜ白装束を身に着けるのでしょうか? ここでは、その意味について、詳しく解説していきましょう。
- 四国お遍路の「菅笠」の文字の意味
- 四国お遍路の装束のひとつに「菅笠」があります。 必需品というわけではありませんが、歩きお遍路の方には雨除け・日よけに重宝する点からかぶっている人をよく見かけます。 この菅笠をよく見ると、何やら文字がたくさん書かれています。 「同行二人」はわかるとしても、そのほかには何が書かれているのでしょうか? 四国お遍路の雑学的なお話ですが、ここではその文字についてご紹介します。
- 四国お遍路の「金剛杖」に隠された意味
- 四国お遍路の装束のひとつに挙げられる「金剛杖」。 交通手段の選択肢が豊富な今、なくてはならない装備品とはいえませんが、歩きお遍路で行く四国は、ところどころに難所がありますから、やっぱり杖があると便利。 とくに、険しい山道には欠かせないアイテムのひとつになります。 ところで、この金剛杖には、実用的な用途とは別に、実は深い意味合いが隠されています。
- 四国お遍路|ご詠歌とは何か?
- 四国お遍路を旅していると、どの札所にも、「ご詠歌」があることに気づきます。 ご詠歌は、寺院内に掲げられていることもありますが、納経張やガイドブックなどにも、よく記載されています。 このご詠歌とは、何なのでしょうか?
- 四国お遍路|結願後のお礼参りとは?
- 四国お遍路を結願すると、その後「お礼参り」をする習わしがあります。お礼参りは、88番から直接行く方もいらっしゃいますが、本当に四国を一巡するという意味合いで、第1番札所霊山寺へお参りするのが、最近の通例となっています。霊山寺に参拝すると、満願証明書を頂くことができます。
- 「四国お遍路」はいつから始まったの?
- 四国お遍路を開創したのは、お大師様(弘法大師空海)ですが、 実は、「四国お遍路」が今の形になったのは、江戸時代に入ってからのお話。 それまでは、修験僧の苦行の場としての色合いが濃いものでした。 いつ、どのようにして、一般の人が活用する四国お遍路になったのでしょうか?
- 四国お遍路で出会う「お接待」とは?
- 日本に仏教が伝わってから、遍路を始めとしたさまざまな場所で巡礼が行われるようになりましたが、これらの人々に「接待」をすることは、「お布施」と同じ意味があると考えられてきました。今でも、このような接待が地域に根付いているのは、残念ながら「四国」だけです。四国の人々にとって、「接待」をするということは、お大師様をもてなすのと同じような意味があります。
- 悟りの道へ誘う「四国4県の道場」
- 四国お遍路では、四国にある4つの県を、道場に例えてこんな表現をします。 徳島県(阿波) 発心(ほっしん)の道場 高知県(土佐) 修行(しょぎょう)の道場 愛媛県(伊予) 菩提(ぼだい)の道場 香川県(讃岐) 涅槃(ねはん)の道場 実は、この「発心」「修行」「菩提」「涅槃」は、仏界に入るための「四門思想」に由来しています。
- 四国お遍路|五重塔の意味とは?五重塔がある札所はどこ?
- 四国お遍路に行くと、立派な「五重塔」に遭遇することがあります。 「五重塔」は、「仏舎利が納められている」といわれる場所。仏舎利とは、お釈迦さまの骨のことですから、五重塔は「お釈迦さまのお墓」でもあります。 宗派に関わらず、大寺院といわれるお寺に、「五重塔」があるのは、それが主な理由ですが、実は、それだけではありません。 ここでは、五重塔が持つ意味と、四国お遍路で出会う五重塔をご紹介していきましょう
- 四国お遍路|室戸岬の聖地・御厨人窟で唱えた「虚空蔵求聞持法」
- お大師様が悟りを得た聖地、「御厨人窟」(みくろど)。 高知県・室戸岬にある洞窟で、24番札所「最御崎寺」の手前にあります。 お大師様は、この「御厨人窟」で悟りを得て、「空海」と名を改めたのは有名なお話ですが、その修行で唱えていたのが「虚空蔵求聞持法(こくうぞうぐもんじほう)」です。 「虚空蔵求聞持法」とは、「一度でも見たり聞いたりしたことは忘れなくなる(=求聞持)」修法です。これが成功すると、超越的に記憶力が高まり、細胞に刻まれた人間の記憶、そして宇宙レベルの記憶まで獲得することができるといわれています。 つまり、これを獲得することこそが、超越した精神=「悟り」を得ることになります。
- 四国お遍路|「護摩供養」って何?
- 四国お遍路の札所では、様々な年中行事がありますが、「護摩供養」もそのひとつ。 仏様と一体になるための重要な修法で、火を焚いて仏様に祈りを伝え、その成就を祈ります。その目的によって様々な規定があります。
- 四国お遍路|密教の原色「五色」の意味
- 四国お遍路の札所を廻っていると、あちこちで似た「色合い」をよく目にします。 御参りしていると、気にもとめないかもしれませんが、実は、この色には意味があり、密教の「五大色」と呼ばれている原色です。 ここでは、この5つの色がもつ意味についてご紹介していきましょう。
- お大師様の水の伝説|「弘法水」とは?
- 「お大師様が杖をついた場所から水が湧き出した」。 このように、お大師様が残した湧き水は、「弘法水(こうぼうすい)」と呼ばれ、長い間地域の人々に大切にされています。
- 四国お遍路|お大師さまの「うどん伝来説」
- 四国お遍路をしていると、実に「うどん屋さん」が多いことに気づきます。 讃岐うどんの本場・香川県はもちろんのこと、愛媛の瀬戸内海エリアは、とくにうどん店が多いエリア。 四国のおうどんは、独特のコシがある麺に、ダシの効いたおつゆ。合わせてチョイスできる、天ぷらも美味しいですよね。 今では、日本中で食べられている「うどん」ですが、実は、「うどん」は、お大師様が唐(当時の中国)から持ち帰って、日本に広まったといわれています。 「お大師様のうどん伝来説」。 確固たる証拠はないそうですが、お大師様にまつわる、うどんのお話をご紹介します。
- 四国お遍路|10番札所「切幡寺」観音様になった女人の伝説
- 四国お遍路の入り口、阿波の国(徳島県)。 1番札所から、しばらく平坦な札所が続きますが、一番最初の山道が現れるのが、10番札所「切幡寺」です。 「是から333段」の石碑は、あまりにも有名。この階段を登りきると、本堂や大師堂が現れます。切幡寺に伝わっているのは、女性が即身成仏して観音様になった伝説で、この札所内で、お大師様が修行していたときのお話です。
- 四国お遍路|12番札所「焼山寺」火を噴く大蛇伝説
- 「お遍路ころがし」の最初の難所、12番札所「焼山寺」。 標高938mもある、山の8合目にあり、昔から厳しい修験道の寺院として知られてきました。 この焼山寺にまつわるお話では、お遍路の有名人・衛門三郎がお大師様に再会できた場所が有名ですが、実は、それだけではありません。 ここには、「火を噴く大蛇を退治した、お大師様」の伝説が残っていて、焼山寺という寺名の由来にもなっています。
- 四国お遍路|17番札所「井戸寺」|未来を写す井戸
- 四国お遍路17番札所「井戸寺」には、お大師様自らが掘ったという「井戸」が遺されています。この井戸は、「面影の井戸」と呼ばれ、「井戸をのぞいた人の未来を写す」といわれています。
- 四国お遍路|24番札所「最御崎寺」女人が近づくと火雨が降る山
- お大師様の真言宗に関わらず、仏教では、「女人禁制」という言葉をよく耳にします。 「女人禁制」とは、文字通り、「女性を禁ずる」こと。 主に、修業の場となっている山寺などに多く、実際、「高野山」も明治になるまで、女性は決して入れない場所でした。 四国お遍路の札所の中にも、「女人禁制」だった札所がいくつかあります。 その女人禁制の札所のひとつ、24番札所には、「女性が近づくと、火の雨が降る」伝説が遺されています。 この札所の伝説の主人公は、お大師様とご母堂「玉寄御前(たまよりごぜん)」。 どんな伝説なのか、ご紹介していきましょう。
- 四国お遍路|26番札所「金剛頂寺」天狗退治の伝説
- 「明けの明星が口に飛び込んだ逸話」がある、高知県・室戸岬。 その、室戸岬からほど近い場所にある第26番札所「金剛頂寺」には、お大師様が「魔物を退治した伝説」が残っています。
- 四国お遍路|36番札所「青龍寺」|唐からの独鈷が示した地
- 高知市内から西へ。土佐市に入ると、海が開けてきます。 「宇佐の大橋」という、大きな橋を渡ると、36番札所「青龍寺」はもうすぐそこ。 ここは、お大師様の「独鈷にまつわる伝説」がある札所です。
- 四国お遍路|37番札所「岩本寺」大師の七不思議
- 高知県、四万十町にある、第37番札所「岩本寺」。 ここから先は、ついに、「足摺岬」。 歩くと、3日近くはかかる、長距離区間へ旅出る場所です。 この「岩本寺」には、「5つのご本尊様」が祀られています。 5つもの本尊があるのは、遍路中、ここだけ。 お遍路さんは、ここで「5つの真言をとなえる」ことになります。 また、もうひとつ。珍しいのが、お大師様にまつわる「七不思議」伝説。 木や生き物にまつわる、不思議なお話が伝えられています。
- 四国お遍路|38番札所「金剛福寺」の足摺り伝説
- 四国お遍路で「うつ病」を寛解することができた管理人が送るお遍路情報サイトです。 88か寺の体験記など、これから四国へ行こうと考えているうつ病を治したい人のために役立つ情報をご紹介します。
- 四国お遍路|51番札所「石手寺」衛門三郎再来の石
- 「四国お遍路を始めた最初の人」といわれる、「衛門三郎」。 その、「衛門三郎ゆかりの石」のお話が伝えられているのが、第51番札所「石手寺」です。 衛門三郎は、お大師様を追って、遍路道を20回も旅したといわれています。 その21回目のお遍路中、病で息絶えそうになったのが、12番札所焼山寺近く。 そこで、ようやくお大師様に再会し、「次の世では、伊予の国の河野家に生まれ変わりたい」と言い残して、この世を去りました。 「石手寺」に伝わるのは、その衛門三郎が、転生した後のお話です。
- 四国お遍路|60番札所「横峰寺」お大師様の飛行伝説
- 60番札所「横峰寺」は、愛媛西条市にある、難所のひとつ。 「霊峰・石鎚山」の北側の中腹にある札所です。 石鎚山は、古くから山岳修行の場として有名な山で、お大師様もここで修行したといわれています。60番札所「横峰寺」には、お大師様が自ら刻んだという「大日如来」がご本尊として残されています。 この横峰寺に伝わるのが、お大師様が修行をしていたときの、飛行伝説です。
- 四国お遍路|71番札所「弥谷寺」|「獅子の岩屋」
- 香川県三豊市にある、71番札所「弥谷寺」。 標高382mの弥谷山の中腹に、ある札所です。 ここは、お大師様の生誕地、善通寺にも近く、本堂の中には、お大師様の「獅子の岩屋」が遺されています。
- 四国お遍路|73番札所「出釈迦寺」の捨身伝説
- 四国お遍路で「うつ病」を寛解することができた管理人が送るお遍路情報サイトです。 88か寺の体験記など、これから四国へ行こうと考えているうつ病を治したい人のために役立つ情報をご紹介します。
- 四国お遍路|74番札所「甲山寺」お大師さま神童伝説
- お大師様が誕生した「讃岐」(=香川県)には、幼少期の伝説が数多く残されています。 74番札所甲山寺も、そのひとつ。 正しくは、この74番札所から歩いて15分ほどの「仙遊寺」に伝わっているのが、「弘法大師の神童伝説」です。
- 四国お遍路|お大師様の「食わず芋伝説」
- お大師様にまつわる、有名な逸話の中に、「食わず芋」にまつわる伝説があります。 「食わず芋」は、実際に存在する植物で、正式名称を「クワズイモ」といいます。 最近では、観葉植物としても人気があり、成長すると大きな葉 見た目は、里芋に似ていますが、実は、毒性があって食べられません。 お大師様の「食わず芋」のお話は、「禁忌食物系の伝説」といわれ、人々の智慧を伝える手法として、広められたといわれています。 「食わず芋」の伝説は、日本各地に残されていますが、四国お遍路では、高知県・室戸岬にある24番札所「最御崎寺」に、遺されています。 ここでは、「食わず芋」の伝説について、ご紹介していきましょう。
- 四国お遍路|「現実を変える」密教の教え
- 真言密教の教えの最大の特徴は、「現世利益」=「即身成仏」にあります。 これには、もちろん厳しい修行が必要ですが、「死んでからあの世で仏様になるのではなく、この世で仏様と一体になる」ことができると説いています。 「現実の世界で仏様になる」というのは、言い換えると、「現実は変えることができる」ということ。これからの心の持ちようや行動次第で、「現実は変えられる」と考えることができます。
- お大師様の「真言密教」とほかの宗派の違い
- お大師様(弘法大師空海)が開いた「真言密教」。 インドから中国を経て日本に伝わった、仏教は、その後さまざまな宗派が誕生しました。 真言密教も、もちろんそのひとつですが、ほかの宗派とは決定的に異なる点がいくつかあります。 四国お遍路をする上で、必ずしも必要な知識ではありませんが、知っていると「なるほど」と思うことは多いものです。 ここでは、「真言密教」について、カンタンにご紹介してみましょう。
- 仏様と直接つながる聖なる言葉「ご真言」
- 四国お遍路に行くと、どの札所でも「ご真言」を唱えます。 札所ごとのご本尊の真言はもちろん、全札所で唱える「光明真言(こうみょうしんごん)」は、何か寺も回っていると暗記できるほどです。 ところで、この真言。実際に、札所で読み上げてみると、さっぱり意味がわかりません。 何か、呪文のようにも思えるような言葉が続きます。 ご真言とは、一体何なのでしょうか?
- 如来、菩薩、明王とは?5種類の仏様
- 四国お遍路で札所を廻っていると、さまざまなご本尊様に出会います。 「菩薩」と名がついている仏さまもあれば、「如来様」という名のついたご本尊様もいらっしゃいます。 この「菩薩さま」や「如来さま」。 実は、仏さまにも色々あり、大きく分けると5種類に分けられます。ここでは、仏像の種類を解説してみましょう。
- 真言密教修法の基本「三密加持」とは?
- 四国88か寺を廻る上で、「三密加持」を行う必要はありませんが、密教のことを知り始めると、「三密加持」という文言をやたらと目にします。 「三密加持(さんみつかじ)」とは、いったい何なのでしょうか。ここでは、簡単に三密加持について、解説してみましょう。
- 結願の地「高野山」で叶う!瞑想「阿字観」
- 四国88か寺を結願した後に、お礼参りに訪れる「高野山」。 お大師様がおられる「奥の院」に参拝したら、ぜひとも体験しておきたいのが「阿字観(あじかん)」です。 「阿字観」とは、カンタンにいうと「瞑想」です。 これも修行のひとつですが、高野山では、一般の人が気軽に「阿字観」を体験することができます。
- 真言密教|悟りに達する段階を説いた「十住心論」
- お大師様が残した「十住心論」という著作があります。 人間の心を10段階に分け、最終的に「悟りを得るまでの10のステージ」を説いています。 最終段階に至ると、仏と心が一体化し、現世で仏になる「即身成仏」に至ります。この段階まで進めるのは、「真言密教のみ」と位置づけられています。 「十住心論」は、お大師様自らが開いた「真言密教」の優位性示した書物で、「真言密教でのみ悟りに到達できる」と説いています。
- お大師様自ら残した著作の数々
- お大師様は、その生涯の間に、実に多くの著作を残されました。 その内容は、1200年の時を経ても、色あせることなく私たちを導いてくれます。今では、その著作をもとにした「お言葉」を書籍を通じて、たくさん知ることができます。
- 四国お遍路|自分を守ってくれる仏様とご縁を結ぶ「結願灌頂」
- 「結願」といえば、88か所全てを巡礼し終えることですが、真言宗では「結願」の名がつく仏縁儀式があります。これは、「結願灌頂(けちがんかんじょう)」と呼ばれる仏教儀式で、真言宗に正式に入信する際、真っ先に行われる儀式のこと。 誰でも、希望すれば参加することができます。
- 持って生まれた運命がわかる?「宿曜道」
- 「星供養」とは、生まれ年によって違う「宿星」を供養し、その年の安泰を祈る祈祷のこと。毎年、「節分」の時期に行われる、真言密教の行事のひとつです。 実は、真言密教には、「密教占星術」という秘法があり、これも、お大師様が唐から持ち帰り、伝えられたものです。これにも、数多くの秘法がありますが、その中のひとつ。「三九秘要法」で用いる「宿曜道(密教占星術)」は、「人間の現在過去未来」まで見通します。
- 四国お遍路|「四国別格20霊場」とは?
- 四国には、88か寺以外にも、お大師様ゆかりの寺院が、数多く存在しています。 その数、実に、200以上ともいわれるほど! お大師様の生誕地であり、修業の地でもあった四国。 それだけに、ご縁のある寺院が、実に多いのです。 中でも、「別格20霊場」(別名「番外札所」)といわれる札所が、20か所あります。 この「別格20霊場」とは、何なのでしょうか?
- 四国お遍路|別格20霊場|4番札所「鯖大師本坊」の塩サバ伝説
- 四国88ケ所以外に、お大師様ゆかりの20ケ寺を「別格20霊場」といいます。 徳島と高知の県境近くにある海陽町にある、4番札所「鯖大師本坊」(八坂寺)。 ここには、お大師様と塩サバにまつわる伝説が遺されています。
- 四国お遍路|別格20霊場|8番札所十夜ケ橋「遍路心得 誕生の地」
- 愛媛県・大須市に、「十夜ケ橋」(とよがはし)という、番外札所があります。 別格20霊場の第8番札所で、寺名は、「永徳寺」。 88か所でいうと、ちょうど、43番「明石寺」から、44番「大寶寺」へ移動する途中にあります。 ここには、「四国お遍路の心得」になった、お大師様の逸話が遺されています。