四国お遍路でかぶる「菅笠」!書かれている言葉の意味
四国お遍路の装束のひとつに「菅笠」があります。
必需品というわけではありませんが、歩きお遍路の方には雨除け・日よけに重宝する点からかぶっている人をよく見かけます。
この菅笠をよく見ると、何やら文字がたくさん書かれています。
「同行二人」はわかるとしても、そのほかには何が書かれているのでしょうか?四国お遍路の雑学的なお話ですが、ここではその文字についてご紹介します。
「菅笠」に書かれている5つの文字とは?
菅笠には、全部で5つの文字が書かれています。
書かれているのは、「迷故三界域」「悟故十万空」「本来東西無」「何処有南北」という「四句の悟り」と呼ばれる「偈(げ)」。そして、四国遍路ならではの「同行二人」の合計5つです。
四国以外にも巡礼笠がありますが、その場合は「四句の悟り」のみ書かれているのが一般的です。
「四句の悟り」の始まりは、古く、なんと中世以前にまでさかのぼります。もとは、死者を入れる棺桶に書かれていた文字で、巡礼の菅笠に書かれるようになったのは、白衣と同様、死に装束としての意味あいが強かったといわれています。
この「四句の悟りの4文字」と、「同行二人」の計5文字。果たしてどんな意味があるのでしょうか。ひとつひとつの意味を、詳しく解説してみましょう。
人間が悩んだり苦しんだりするのは、煩悩や欲望、常識やこだわりなどに縛られて、三界を脱することができないからです。
※三界とは、「欲界、色界、無色界」のこと。
でも、仏心を持ち、悟りを開こうとするならば、何にも捕らわれることない自由な世界が見えてきます。
もともと、この世界には自分自身を縛るものなど何もないのです。世間の常識と言われる決まり事も同じ。
太陽が東から登り、西に沈むといっても、その東や西というのは人間が決めた言葉であって、本来名前などないのです。
東西と同様、南北という言葉さえ、人間が決めた便宜上の言葉です。この世の常識というものは、何事も人間が作り出したものであり、それに縛られているのは人間だけです。
豆知識!「四句の偈」が目指すもの
四句の偈は、「人間が悩みや苦しみから脱して悟りの境地に達する」ための道筋を説いた言葉です。巡礼をすることで悟りの境地へ達し、解脱するための教えを、菅笠に刻んでいるというわけです。
四国お遍路では、巡礼を始めた瞬間から「お大師様がずっと傍らに寄り添って同行してくださる」という意味です。四国お遍路ならではの言葉です。
菅笠の中央にある梵字の意味
お遍路さんの菅笠には、5つの文字のほか、中央の真ん中に暗号のような文字が書かれています。
これは、梵字(はんじ)と呼ばれる文字で、古代インドで使われていたサンスクリット語。菅笠に書かれている梵字は、「ゆ」と読み、お大師様を指しているといわれています。
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