迷いの輪廻を断ち切るのは、現世の自分
生れ生れ生れ生れて生の始めに暗く、死に死に死に死んで死の終わりに暗し
(秘蔵法論)
何度、生まれ、生まれても、多くの人は暗闇の中から抜け出せないままでいます
参考書籍:「心が穏やかになる空海の言葉」元結不動密蔵院住職 名取芳彦氏著/宝島社刊より引用
意訳
自分がどこから生まれてきたのか。死んでどこへ行くのか。
私たちは、そのことにフタをしたまま人生を送っています。
フタをしたまま暗闇に生き続けると、何度輪廻を繰り返しても同じ。
だからこそ、それに気づいたときに、その暗闇の輪廻から解脱するのです。
自分さえ良いと思うことが、迷いを深める理由になる
人はどこから生まれてきて、死んでどこへ行くのか。
わからないまま、日々を過ごしています。
「わからないことは考えない」。そういった方が正しいかもしれません。
でも、「うつ」になると、そうはいかなくなります。
「なぜ、生きているのか」。「自分の存在価値は何なのか」に直面してしまうからです。
もちろん、うつになって喜ぶ人は、一人もいませんが、
少し視点を変えてみると、健康なときには、思いもしなかったことに気づきます。
それが、「生きている意味」。「生まれてきた意味」です。
うつになると、この意味が感じられなくなります。
そして、「生」についてこれ以上ないくらい、考えてしまうのです。
もちろん、そう簡単に答えは出てきません。
おそらく、死ぬまでそうでしょう。
でも、この気づきは、人間の迷いを知る上でとても重要なことです。
私たちは、「自分の人生に迷ってしまった」と感じているけれど、古今東西、何千年も、人間は迷いの中で生きてきたのです。
人と人とが殺しあう、戦争。
人と人とが傷つけあう、いさかい。
「もう二度と戦争はしない」と心に誓っても、この世界から戦争がなくなったことはほとんどありません。
輪廻転生を繰り返しているはずの人間も、この迷いのループからいまだに抜け出せないでいるのです。
人は迷い始めると、思考を停止します。
自分さえ良ければいい。他人のことには、関与しない。こうして生きることこそが、人間が迷い続ける由縁なのかもしれません。
「生」について、深く考えるようになったうつ人は、正直、人のことに構っている余裕などありません。
でも、この迷いこそが、暗闇の根源なのかもしれません。
今からの生き方、考え方を変えることこそが、今を生きる意味なのではないでしょうか。
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